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食べ物のはなし 1

お酒のはなしシリーズに続いて、今度は食べ物の話です。結局はいかに自分が文化的に貧しいかという話なのですが、さあ、そんなことを殊更言い立ててなんになるのでしょうか。

生まれてこの方、自分は味覚というものに対して人一倍無頓着でした。
自分にとって食事とは、日々生活するためのエネルギーを摂取する行為以外のなにものでもありませんでした。親が与えた物を食べる以外の選択肢などありませんでしたし、そもそもそんな選択肢を望む事すらありませんでした。それは例えて言えば、江戸時代の人が、「家に居ながらにして、世界中の人たちと交流したり、世界中の情報を手に入れたり、世界中の物を買ったりできたらいいなあ。」なんて事を願いすらしない事に似ています。

大学に入って、一人暮らしをするようになり、仲間と外食をする事が日常的になります。そんなとき、誰かが「今日はこれこれが食べたい気分だ。」などと言うのを耳にするようになります。これは自分にとって大層驚きでした。あれが食べたい気分、これが食べたい気分、などと言うことは生まれてこの方考えたこともなかったのです。まるでインターネットの発達した社会に突然降り立った弥生人のような気持ちでした。あるいは黒船来襲以来の西洋文明の強大さにおびえる江戸末期の日本という言い方もできようかと思います。気分はどちらかと言えば尊皇攘夷でした。
もちろん、大好きな食べ物、そうでもない食べ物、などはありましたが、それは基本的には変わる事のないものでした。

ちなみに、子供の頃からの大好物といえば、スジコです。暖かいご飯にスジコと海苔、これが何よりのご馳走でした。父の実家が北海道だったので、たまに新鮮なやつを送ってもらったりしていました。
今でも、死ぬ前に何が食べたいか、と問われれば、答えは同じです。

カルチャーショックはこれだけではありません。
この食べ物とこの食べ物は合うとか合わないとか、そういう事も自分の範囲を超えたものでした。お酒を飲むようになっても、例えば和食だったら日本酒とか、そういう事をこれっぽっちも考えたことがありませんでした。ただひたすらどんな食事にもビール、だってビールが好きなんだもん、でした。開国の必要なし、あんまりうるさいと生麦事件おこすぞ、でした。いや、別に誰かにうるさく言われたわけではありません。ただ、世間の風潮はどうもそういう方を向いていたように思います。

そして我が国はバブル期を迎えます。空前のグルメブーム。この国に居ながらにして、世界中のいろいろな美味しい物を食べることが出来るようになりました。残念な事に、その時はバイトの傍らバンドをやっていたので、経済的には結構みじめなもので、バブルの恩恵にはさほどあずかることが出来ませんでしたが、情報はいやでもあちこちから入ってきます。
ほんの少しずつですが、自分の中に「食文化」の萌芽が育まれつつあったバブル期でした。(S)

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飲み物にかんしては

バーテンやってたりしたんで、ワイン以外のお酒に関しては、少しは知っています。でも大切名事は知識ではなく舌なんですよね。
そこが涙です。

食べ物と飲み物

シンさんはどっちかというと食べ物より飲み物のほうが詳しそう
飲み物も追及すると奥が深いですよね
買ってね
2012までのストレッチマン音楽集です。未発表曲もあるでよ。
The Backstreet Shinings
スクエアの劇団内バンド「ザ・バックストリートシャイニングス」のデビューCDです。

満月倶楽部
ハープとアコーディオンのデュオ、「満月倶楽部」もよろしく。レパートリーは60曲に達しました。
満月120
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