終わりました

天童よしみ特別公演、26日の千秋楽で全て終了しました。
いやー、今回はほんまにしんどかったです。こんなにしんどかったのはもしかすると初めてかもしれない。
今までの天童さんの舞台では、お芝居部分のBGMを一人で家で作るのが仕事でした。
今回もそうだと思ってたのですが、6月のある日、プロデューサーから
「8月9日に東京で録音があります」
との連絡が入ります。
意味わからんし。
俺のアレンジで天童さんが歌うなどと言うことは絶対にありえない、そう思ってました。
でもそのありえない事が起きたと言うことが徐々に分かってきます。
俺あんまり譜面とか書いた事ないし。
相手はそうる透さんをはじめとする超一流のミュージシャン達。
出来るのか俺。
大丈夫なのか俺。
でもやるしかありません。
まずは、歌う曲をユーチューブで聴きます。いくつかのアレンジで聞くことで何となくどうすれば良いかがわかってきます。
でも、管楽器の譜面の表記法とか全然わからないので、もじゃもじゃくんに、作曲家の前田恵実さんを紹介していただき、メールで分からんことを聞いたりします。
ほんま助かりました。前田恵実さん。
6月末には東京で天童さんと打ち合わせ。構成、テンポ、キーなどを決めます。俺のピアノで天童さん歌います。
ひいーーー。
それからひと月余り、家に缶詰でひたすら譜面書き。
7月末に八尾の天童さん宅で打ち合わせ。
打ち込みでつくったデモ聞いていただきます。もうドキドキ。
それからまた譜面仕上げつつ八月の録音に臨みます。
場所は東京の「Sound City」。
ブースが10近くあるすんげースタジオ。こんなとこ来るの初めてです。
みんなに譜面を渡し、ミュージシャンの方に譜面の不備を鋭くつっこまれつつ、録音が始まります。
54歳にして、ぺーぺー状態。むっちゃ久しぶりの感覚です。
この場所に来る前から心に決めていた事がありました。
「謙虚に、けれど堂々と」
偉そうにする必要は全くないけれど(つーか出来るわけないけれど)、妙にへりくだるのは絶対にやめよう、と思って臨みました。
結局、今まで自分が培ってきたもので勝負するしかないのです。
それでダメなら仕方ない。自分はそこまでだったという事です。
自分を大きくみせるのも卑屈になるのもどっちもアウトです。
譜面の不備をつっこまれたって、
「いや、こんな事初めてなんで」
みたいな言い訳は絶対にしません。
分からない事は分からない。でも自分はこうしたい。皆さんの意見(つーか文句)にも真摯に耳を傾けて最善の解を一緒に見つけていきましょう。
こんな姿勢を貫きました。
なんとか終わって、挨拶をします。
一番譜面に文句をつけていた人に、
「色々助けてもらってありがとうございました。」
と「堂々と」お礼を言うと、向こうが手をさしのべてきます。
やったー。
もう泣きそう。
やり遂げました。
で、翌日ミックス。
昨日聞こえてなかった音が山ほど。落ち着いてたつもりだけど、やっぱりてんぱってたんだなあ。
でもそのミックスも有能なエンジニアさん達のおかげで無事終了。
ホンマはもっと時間かけた上で、一日くらい寝かせてから改めて聞き直してから手直し、といきたいところですが、
限られたリソースで最大の成果を上げるのがプロというものなんでしょう。
最大の山を越えればあとはBGM、いつもやっている作業です。
今回は演出の方も理解のある方でやりやすかったです。
ただ、ギリギリまで曲出来なくて、生トランペット、生クラリネット、生ヴァイオリンと三人にヘルプをお願いしてしまいました。
やっぱヴァイオリンいいですわ。どってことないメロディでも、いきなり説得力でます。
なおさん、これからもよろしくね。
てわけで三ヶ月のお仕事がようやく終わりました。
少しだけのんびりします。