太陽のサーカス

今月四つ目の生モノ観て参りました。CIRQUE DU SOLEILの「DRALION」です。写真は大阪南港に作られた特設のシアターです。
どの出し物も、人間業とは思えない難しそうな技を、時にあどけない少年少女たちがいともたやすく決めたりします。それはもう、今大阪でやっている世界陸上なども色あせてしまいます。「この人ら、失敗することとかないんやろか。そんな所に到達するには、一体どれだけ練習を積めばええんやろか。自分は生きている間に、そこまで行けるんやろか。」
そんな事を考えながら音楽に乗って次々に繰り出される技に圧倒されていました。しかし一方で、何か物足りなさを感じてもいました。
一つは、従来の「サーカス」というものの持つダークな一面です。そういうものを完全に払拭したところに、世界中で成功した理由の一端はあるのでしょうが、「この子、これ失敗したら晩ご飯抜きなんやろな」的な想像をする余地を一切与えてくれないとなると、何か別の形でドラマを提示する必要があるのではないか、と思いました。それが物足りない理由なのではないか、と。
一応、東洋と西洋の融合、というのがコンセプトらしく、タイトルの「Dralion」もおそらく、東洋のDragonと西洋のLionを合成した造語だと思います。けれども残念ながら、「融合」とかいう事はあまりわかりませんでしたし、あとでパンフレットを読んで初めてわかった、「空」「水」「土」「火」の4つのエレメントの調和というのも、鈍感な自分には、舞台を観ている間は全く見えないものでした。そこに何かドラマ性を感じる事はできませんでした。
こういう事は、何か、「もっともらしさ」を付与するための小理屈に思えます。
そんな気持ちを抱きながら後半。(S)